まずは一歩踏み出そう!
私の留学体験記 (UCSI大学|Nさん)

今回の留学体験記は、マレーシアの中でとりわけ世界ランキングが高い私立大学のUCSI大学に在籍するNさんです。
Nさんは愛知県の公立高校を卒業し、いったんは日本の国公立大学へ進学しましたが、自分の学びたい分野が「工学」から「言語学」へと移り変わったため、マレーシアのUCSI大学に進学することを決意しました。
理系から文系への転向は、マレーシアの大学では比較的容易です。学びたい分野を見つけて、Nさんは今は楽しみながらマレーシアで学んでいる様子がうかがえます。
そんなNさんの留学体験記を、どうぞご覧ください。
(Go for it ブログ編集部)

執筆者の基本情報
ペンネーム | N |
---|---|
性別 | 女子 |
出身高校の所在県 (または地方) | 愛知県 |
公立/私立 | 公立 |
高校の最終成績(GPA) | 4.0 / 5.0 |
出願時のIELTSスコア | 6.0 |
進学した大学 | UCSI大学 |
在籍する学年 | Year 2 |
学部・専攻 | ソーシャルサイエンス&リベラルアーツ学部学部 英語&コミュニケーション学科 BA (Hons) English Language & Communication |
ファウンデーションコース経由か? | いいえ |
英語強化コース経由か? | いいえ |

高校時代に頑張ったこと、打ち込んだこと
私は高校時代に、3つのことに力を入れました。
1つ目は、「国際科学科」という理数科と英語科を足したクラスに在籍し、SSHの一環で数学の論文を日本語と英語で発表しました。第12回マスフェスタ全国数学生徒研究発表会、SSH東海フェスタ2021に出場しました。また、学科内設置の必修科目「SSH科学英語」には3年間力を入れ、授業内の英語でのプレゼンで高評価を得ました。
2つ目は、初心者でありながら強豪の合唱部に入部しました。1年次の初回のオーディションではパート内最下位でしたが、その後先輩や同期と相互に指摘し合う練習方法を確立した結果、高校生活最後のオーディションでは、パート内1位となり、代表メンバーとして第27回愛知県ヴォーカル・アンサンブルコンテスト高等学校部門で金賞受賞に貢献しました。
そして3つ目は、生徒会執行部のメンバーとして計3期活動しました。任期となったのが、購買出入りのパン屋さんが新しい業者に交代したタイミングだったため、パン屋さんと親交を深めて、より生徒の意見を反映させた購買を実現する目的で全校生徒にアンケートを行いました。アンケート実施ととりまとめの先頭に立ち、より良い購買の実現へ一歩前進しました。
いつから、なぜマレーシアを考え始めたか?
日本の国公立大学合格を目標に勉強していましたが、残念ながら不合格に終わり、第3志望の国公立大学へ進学することになりました。
「浪人を推奨しない」という我が家の方針に従いつつも、1年生の5月頃から密かに予備校を使わない仮面浪人(大学に通いながら大学受験の勉強をすること)で第1志望の大学への再挑戦を検討する中で、私自身の興味・関心が第1志望の大学にはない「言語学」という分野へと移り変わっていることに途中で気がつきました。
仮面浪人を検討中ということを知らない母が、ふと「学部生のうちに留学できるといいね」と声をかけてくれたのですが、私はそれを交換留学ではなく「正規留学」のことだと勘違いしてしまい、1年生の6月頃に格安で正規留学できる国を探しました。その1つが、マレーシアだったのです。
マレーシアに惹かれた理由は、人生で一度も東南アジアに行ったことがなく、そこで学問を修めることに漠然とした面白さを感じたからです。マルチリンガルな環境で、授業外でも様々な言語や方言を聞けるのは、転向したい「言語学」を修めるにあたって貴重な経験になると思いました。
日本では理系から文系に受験科目を変えようとすると、ゼロから別の科目を勉強しなければなりません。一方、マレーシアへ進学すると、同時に文系へと移行することは簡単でした。その理由は、高校の成績とIELTSのスコアのみしか要求されないからです。
IELTSスコアを上げる苦労と具体的な勉強法は?
英語の勉強は、公文式で中学卒業までには教材の進度が大学研究レベルまで達していたため、IELTSスコアを取得することに大きな困難はありませんでした。
対策としては、市販のIELTS Writing 対策の本を読み、有料の添削サービスへ何度か提出しました。それから、オンライン英会話を週に数回やりました。その対策は2ヶ月で完了し、初受験で必要なスコアを取得することができました。
なぜその大学と専攻を選んだのか?
他の大学とのシラバス(Study Plan)を比較し、UCSI University が最も言語学を多角的な視点から学べると感じ、選択しました。
言語学は高校時代に初めて出会いましたが、当時は第1志望の大学への憧れが強く、その大学で工学を修めたいと考えていました。
高校を卒業し、改めて言語学の入門書を読んだり、言語学の各分野について調べたりして、「工学よりも言語学のほうが関心を持って取り組める」と最終的に判断しました。
入学前と入学後の印象のギャップはあったか?
まず、学生の英語のアカデミックな英語のレベルが高いことに驚きました。
高校では、科学英語の授業中、安易に日本語を使用してしまうこともありました。したがって、マレーシアの大学のような環境は日本では実現しにくいため、費用対効果は良いと感じています。課題を短期間で仕上げて高評価を得る周りを見て、刺激を受ける毎日です。
次に、仲間とシェアして「コンドミニアムに住む」という文化を渡航後に知ったため、学生寮を卒業まで契約更新しようとしていた私はびっくりしました。私はスモールルームに月3万円支払っていますが、セキュリティの高いエントランスにプールやジムなど、快適な生活ができています。
セメスター留学や海外大編入を考えているか?
UCSI University ではセメスター留学や、イギリス・カナダ・オーストラリアなどへの海外大編入が可能ですが、私自身はそのようなプログラムへの参加は検討していません。
このまま卒業して日本での修士課程進学へ向け準備することを考えています。
大学留学がスタートしてから自分は成長したか?
「学問」と「トラブルシューティング」での成長を感じます。
前者の「学問」についてですが、ギャップイヤーに1人で言語学の入門書を読んでいた私にとって、大学で教授やクラスメイトと議論しながら学ぶということは、貴重で楽しいものです。
言語学は英語で書かれた文献が多く、英語をツールとして用いて言語学について議論することに奥深さを感じています。
ここ数十年で確立された分野もあり、特にそれらは日本語での情報が少ないため、英語というレンズを通して新しい分野と向き合えたという経験が私を成長させたといえます。
後者の「トラブルシューティング」については、マレーシアではトラブル発生は日常茶飯事です。
大学の学生マネジメントの悪さをはじめ、店、病院など、ずさんなサービスやミスコミュニケーションを経験しました。
当初は動揺してしまい、しばらく引きずってしまうこともありましたが、今はおおらかな気持ちで臨むことで、トラブルに対して冷静に対処できるようになりました。

大学生活が終わるまでに、どういう自分になりたいか?
卒業までに言語学の学士課程レベルの内容について、英語と日本語の両方で理解・説明できている自分になりたいです。
中国語検定のHSK4級を取得したため、卒業までにHSK5級(簡単な業務に対応可能と履歴書に記載できるレベル)の取得もできるといいなと思っています。
今は修士課程への進学を視野に選択肢を模索中ですので、卒業までには明確なビジョンが描けているように、残り約1年間、先輩やメンターに相談したり、AIを駆使して散らかったアイデアを簡潔な文面として整理したりしたいです。
将来は、どこの国でどういう仕事をしたい?
日本に拠点を置きつつ、何かしらの職業(言語学者や言語聴覚士などを検討中)について、日本中のみならず世界中を出張で飛び回りたいです。
各現地の言語でコミュニケーションもしてみたいです。もしも子どもがいれば、父が私をドイツ駐在に伴わせたように、私も自分の子どもを1〜2年ほどの駐在で一緒に連れて行って、日本とは異なる生活を送ってみたいとも思います。
これまでの人生21年間で7回も引越しを経験したため、むしろ1ヶ所の景色を見続けて暮らすことに違和感を覚えます(笑)
実際にマレーシアで生活した率直な感想
マレーシアへの印象は「ザ・東南アジア」といった曖昧な印象でした。しかし、渡航してそれは覆りました。キャッシュレス化が進み、電光で眩いクアラルンプールには感動を覚えました。
個人的に季節や天候によって体調が左右されやすいのですが、マレーシアは雨季と乾季しかないため、1年中ほぼ安定して暮らせており満足しています。
私の大学の立地は、雨季の16時だけ乾季よりも激しいスコールが降るときがあり、そのときは眠気を感じてしまいますが、コンドミニアムはキャンパスの隣にあるため、万が一授業がそのときあってもすぐ帰宅してベッドにダイブできるのが嬉しいです。
マレーシア大学留学は後輩諸君にお勧めできるか?

マレーシア留学の効果や特徴を理解している人にはおすすめできます。
日本人の同期に、「あなたはマレーシアで生き生きとしている」といったことを言われたことが何回かあります。自分でもそのように感じていて、根幹には、高校時代までの学力・英語能力の貯金や、「留学」というよりも「学問」をしに来たという意識があると考えています。
私はいい意味でマレーシア留学に期待していません。環境は大切ですが、だからといって、マレーシアに来たからといって、人生が好転するわけではありません。“操縦席に座るのはあなた”です。
インターネット上では、「英語が身につかない」「やっぱり別の国に行きたかった」「マレーシア英語が嫌」などのコメントが散見されますが、それは本人のマレーシア留学に対する解釈・咀嚼のレベル感に依ると思います。
私自身、英語力は、
- 過去の貯金
- 授業への積極的参加
- 洋書の読書・英語でのYouTube視聴
- ローカルの友達と過ごす時間の長さ
などの要素を混ぜていますし、留学そのものに全幅の信頼を寄せるのはやや危うい考え方です。
また、言語学的な視点では、英語の訛りは縦の向きの優劣ではなく、バリエーションとして横の広がりを見せるものに過ぎません。マレーシア英語を聞き取り、自分が好みの英語の話し方を努力して勉強すればいいだけです。
ここまでの注意を踏まえ、それでも来たい人にはおすすめできます!
以上