私の留学体験記 (モナッシュ大学マレーシア校|MU.さん)

今回の留学体験記は、マレーシアの大学でも高い人気を誇るモナッシュ大学マレーシア校(Monash University Malaysia)でゲノミクス・遺伝子情報学を学ぶMU.さんです。

MU.さんは、中学を卒業したタイミングで親御様の転勤のためマレーシアに移住し、高校卒業まで約2年半をペナン島のインターナショナルスクールで過ごしました。

高校時代に高大連携で現地のマレーシア科学大学と共同で行った環境保全活動において、科学的アプローチによる検証や問題解決を経験したことが、大学での専攻選びに大きく影響したそうです。

MU.さんは、モナッシュ大学のファウンデーションコースであるMUFYを経由して学士課程に進み、現在はYear2に在籍しています。

そんなMU.さんの留学体験記、どうぞご覧ください。

(Go for it ブログ編集部)

高校時の課外活動で訪れていたCEMACSのビーチ
目次

入学した大学

執筆者の基本情報

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ペンネームMU.
性別女子
出身高校の所在県 (または地方)ペナン(マレーシア)
公立/私立インターナショナルスクール
Prince of Wales Island International School
高校の最終成績(GPA)IGCSE(6A*, 3A)
出願時のIELTSスコア7.0
進学した大学モナッシュ大学マレーシア校
在籍する学年Year 2
学部・専攻理学部 ゲノミクス・遺伝子情報学専攻
https://www.monash.edu.my/bachelor-science
ファウンデーションコース経由か?はい
英語強化コース経由か?いいえ

高校時代に頑張ったこと、打ち込んだこと

高校はペナンにあるイギリス式のインターナショナルスクールに通っていました。

授業は全て英語で行われ、一度日本語で学んだことを英語に置き換えて理解する必要があったため、特に生物や地学といった暗記科目には苦戦しました。そのため、ひたすら教科書を読み込み、理解を深めることで克服し、最終的には特進クラスに所属し、周囲の生徒たちに負けないよう努力を続けました。

また、高校生活の約1年半がコロナ禍によるMCO(活動制限令)の影響でオンライン授業となり、対面よりも集中力を維持するのが難しい環境でした。

言語を学ぶことが好きだったため、IGCSEでは中国語とスペイン語の2言語を履修していたのですが、発音やイントネーションの習得には苦労し、特にオンライン授業ではマイク越しでは細かいニュアンスが伝わりにくく、対面での学習に比べて難しさを感じることが多かったです。

課外活動では、私の学校とマレーシア科学大学(USM: Universiti Sains Malaysia)がタイアップしたCentre for Marine and Coastal Studies(CEMACS)に所属し、環境保全活動に取り組みました。CEMACSは、SDGsの目標12(持続可能な生産と消費)に関連する活動を行い、国内外の教育機関と連携しながら生態系研究やプラスチック汚染問題の解決に貢献する組織です。

私はペナン島南部のCEMACSのビーチでごみ拾いや砂のサンプリングを行い、プラスチックを分離・計測し、それを統計データとしてまとめる活動に参加しました。環境問題に対する理解を深めると同時に、持続可能な環境保全のために実践可能な対策や科学的アプローチを学ぶ貴重な機会となりました。

いつから、なぜマレーシアを考え始めたか?

私がマレーシアへの進学を考えるようになったきっかけは、父の転勤でした。都内の私立中学校を卒業するタイミングで父のマレーシア赴任が決まり、それに伴い私もマレーシアのペナン島へ移り住むことにしました。

現地ではインターナショナルスクールに編入し、Year 9の最終タームから新たな環境での学びを開始しました。Year11でインターナショナルスクールを卒業し、Pre-Universityプログラムとしては、モナッシュ大学のファウンデーションコースである Monash University Foundation Year(MUFY)を選択しました。

選択の理由としては、英国式インターナショナルスクールの大学出願資格であるA-Levelでは1.5〜2年と比較的長い期間を要するのに対し、MUFYは1年で修了できる点がありました。さらに、モナッシュ大学への進学が当初から第一志望であったため、モナッシュへ直結するMUFYは最も合理的な選択肢でした。

IB Diplomaについても選択肢として考えましたが、IBは幅広い教科の履修が求められるうえ、エッセイや課外活動など学業以外の負担も大きく、モナッシュ大学進学を前提とする場合、MUFYと比べて効率的ではないと判断しました。

また、MUFYの修了成績はモナッシュ大学以外のオーストラリアのGroup of Eight (Go8) の大学にも出願可能であり、進路の選択肢を広く持てる点も、将来について柔軟に考えたい私にとって適していると感じました。

IELTSスコアを上げる苦労と具体的な勉強法は?

私は高校を卒業した2022年6月からIELTSの受験まで約3か月の準備期間を設け、主にライティングとスピーキングのスキル向上に重点を置いて学習を進めました。

ライティング対策としては、参考書を活用し、模範解答を徹底的に分析しました。特に、エッセイの構成を身につけることを重視し、解いた問題を繰り返し見直しながら書き方を習得しました。

また、単なる語彙や文法の向上だけでなく、IELTS特有のフォーマットに沿った表現を意識的に学ぶことで、より効果的なライティングスキルの向上を図りました。

スピーキングに関しては、YouTubeにある高スコア取得者のスピーキングテスト動画を繰り返し視聴し、どのような回答が評価されるのかを分析しました。また、頻出質問をスプレッドシートに記録し、さまざまなトピックに対応できるように準備しました。

なぜその大学と専攻を選んだのか?

大学の化学の授業での一コマ

私は最終的にモナッシュ大学マレーシア校への進学を決め、理学部に入り専攻としてGenomics and Bioinformatics(ゲノミクスとバイオインフォマティクス)を選択しました。

まず、モナッシュ大学はオーストラリアのGroup of Eight(Go8)に属する名門大学の一つであり、研究と教育の両面で世界的に高い評価を受けています。

マレーシア校で学びながらも、本校と同じ学位を取得できる点は、将来的に国際的なキャリアを築く上で大きな強みになると考えました。

さらに、マレーシア校はオーストラリア本校と比較して学費が半額程度でありながら、同等の教育を受けられることから、費用対効果の面でも魅力的でした。

専攻としてGenomics and Bioinformaticsを選んだ理由は、生命科学とデータサイエンスの融合領域に強い関心を持っていたためです。高校時代の生物学の学びを通じて、遺伝学やバイオテクノロジーに興味を持つようになりました。

一方で、MUFYではICT(Information and Communication Technology)を履修し、プログラミングやデータ処理の基礎を学ぶ中で、情報科学の面白さを実感しました。 

これらの経験から、生命科学と情報科学の両方を活かせる学問領域を探した結果、Genomics and Bioinformaticsが最も自分に適していると考えるようになりました。生命科学と情報科学の知識を統合し、実践的な研究や応用に貢献できる分野で学べることに魅力を感じています。

入学前と入学後の印象のギャップはあったか?

入学前は、高校と同じように授業で学んだ内容を復習すれば試験に対応できると考えていましたが、実際に大学の授業を受けてみると、最も大きなギャップとして感じたのは自学習の割合の多さでした。

高校では、授業の内容を理解し、復習することで十分に試験に備えることができましたが、大学では講義で扱われる内容はあくまで基礎に過ぎず、より深い理解を得るためには自主的な学習が不可欠でした。特に、授業で取り扱うトピックが広範囲に及ぶため、必要な文献を自分で探して学ぶ習慣を身につける必要がありました。 

また、入学前は試験の成績が評価の中心になると考えていましたが、実際にはレポートやエッセイの比重の大きさに驚かされました。大学では単なる事実の記述ではなく、論理的に構成し、批判的思考を取り入れて主張を展開するスキルが求められました。

この点においては、MUFY(Monash University Foundation Year)でアカデミックライティングの基本や適切なリサーチの方法を学んでいたことが大いに役立ち、MUFYを通じて、大学のレポート課題にもスムーズに対応できる基礎が身についていたと感じています。

また、モナッシュ大学はオーストラリアの大学の分校でもあることから国際色が豊かだと思っていましたが、実際には現地のマレーシア人学生が大半を占めており、海外からの学生は想像よりも少なかったことに少し驚きました。

ただし、マレーシア国内の異なる民族(マレー系・中華系・インド系)や文化的背景を持つ学生と交流する機会が多く、国籍の多様性だけでなく、文化的な視点の違いを学べる環境があることは大きな魅力でした。 

セメスター留学や海外大編入を考えているか?

モナッシュ大学マレーシア校には、学生が海外のキャンパスや提携大学で学ぶことができる留学プログラムがいくつか用意されています。

インターキャンパス・エクスチェンジ(Intercampus Exchange)はモナッシュ大学のオーストラリア本校やその他のキャンパスに1セメスター(約半年間)留学できる制度で、交換留学(Exchange Program)はモナッシュ大学と提携のある世界各国の大学に最大1年間留学できる制度です。

現時点では、オーストラリア本校への半年間の留学を考えています。本校の学生と交流しながら授業を受けることで、知識を深めるだけでなく、新しい視点や学習スタイルにも触れられるのではないかと期待しています。 

また、交換留学にも興味はありますが、どの国の大学が自分の学びに最適か、単位互換の制度などを含め、もう少し詳しく調べた上で判断したいと思っています。

大学留学がスタートしてから自分は成長したか?

マレーシアには高校時代から住んでいましたが、当時は家族と一緒に暮らしていたため、生活の多くの面でサポートを受けていました。しかし、大学進学後は一人暮らしをすることになり、生活のあらゆる面を自分で管理しなければならなくなりました。食事や家事はもちろん、時間の使い方や金銭管理などもすべて自己責任となり、自然と自立心が養われたと感じています。

また、学業面においても、授業ごとに求められる自主学習の量が大幅に増えました。特にレポートや課題の締切を管理し、計画的に学習を進めることが不可欠になったことで、自己管理能力が向上しました。

大学生活が終わるまでに、どういう自分になりたいか?

大学生活を通じて、学問的な面では、自身の専攻の専門知識をより深く理解し、実践的なスキルを身につけることが目標です。特に、データ分析のスキルを強化し、実社会で応用できるレベルに引き上げることを意識したいです。

次に、人との関わりを通じた成長も大切にしたいです。これまで以上に、異なるバックグラウンドを持つ人々と交流し、多様な視点や価値観を学ぶことで、自分の考えをより広げていきたいです。特に、今後のキャリアを考える上で、業界の専門家や先輩と積極的に関わりながら、自分の進むべき道を具体化していくことが重要だと思っています。

将来は、どこの国でどういう仕事をしたい?

将来的には、日本での就職を考えています。現在、ゲノミクスとバイオインフォマティクスを専攻していますが、必ずしも専門分野に直接関係する仕事にこだわるつもりはありません。それよりも、データ分析や問題解決力を活かし、幅広い分野で挑戦できる環境に身を置きたいと考えています。

また、日本を拠点にしつつも、海外とも関わる仕事をしたいと考えています。国際的なビジネスに関わる機会の多い企業で、世界中の企業や人々と協力しながら働ける環境に魅力を感じています。そのためにも、大学生活の中で国際的な視点を養い、語学力やコミュニケーション能力をさらに高めていきたいです。

実際にマレーシアで生活した率直な感想

友達と訪れたPutra Mosque

実際にマレーシアで生活してみて、自分には合っている環境だと感じています。

気候は年中暑いものの、生活全般はのんびりしていて、ストレスを感じにくい環境です。特に、周囲の人々も親しみやすく、人種差別のような経験をしたこともありません。そのため、海外にいながらも安心して生活できる場所だと感じています。

また、日系のレストランやユニクロなどの日本の洋服店もあるので、日本のものが一通り揃うのもありがたいです。

食事に関しても、ローカルの料理だけでなく、日本食や韓国料理、中華料理など選択肢が多いので、食べるものに困ることはほとんどありません。

もちろん、日本と比べるとお手洗いの清潔さや公共の設備に関しては違いを感じることもあります。例えば、日本のようにどこに行っても清潔なお手洗いがあるわけではなく、場所によっては衛生状態が気になることもあります。

ただ、これは大きな問題ではなく、慣れれば気にならなくなりました。

マレーシア大学留学は後輩諸君にお勧めできるか?

もちろん、人によって向き不向きはあると思いますが、個人的にはマレーシアでの大学留学をおすすめできます

モナッシュ大学マレーシア校のように、オーストラリアの本校と同じカリキュラムを受けられる環境がありながら、学費や生活費が比較的抑えられる点は大きなメリットです。

一方で、マレーシア特有ののんびりした雰囲気に慣れる必要があるかもしれません。例えば、時間に厳しい日本の感覚と比べると、授業や手続きの対応が少しルーズに感じることもあります。そのため、常に時間通りに物事が進む環境を好む人には少しストレスを感じる場面があるかもしれません。 

それでも、多文化環境の中で学びたい人や、比較的リーズナブルな費用で海外の大学教育を受けたい人にとっては、とても良い選択肢だと思います。大学の学びだけでなく、異なる文化の中で適応力を鍛えられるのも大きな経験になるので、興味がある人にはぜひチャレンジしてほしいです。

以上

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